出汁の歴史

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日本食に欠かせない出汁

「うま味(UMAMI)」という言葉をご存知ですか?

日本の食文化の根幹ともいえる「出汁」は、このうま味を存分に生かす、偉大な発明品です。

日本料理を作るために「出汁」が必要不可欠です。

日本の主な出汁の素材は、昆布、かつお節、煮干し、しいたけなどです。

美味しい料理を作るために、料理人は出汁からこだわります。

出汁の取り方は合わせ出汁やひとつだけの素材を使うなど、人によってさまざまですが、とにかく「出汁」は日本料理を引き立ててくれる大切な役割を果たしています。


日本の出汁の誕生

出汁の素材である「昆布」と「かつお」は700年代に初めて文献にて確認されています。

しかしながら、「出汁」という言葉はずっとなかったようです。

「出汁」は江戸時代初期に完成した、「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」に収録されている日本料理の流派、大草(おおくさ)流の料理書である相伝之聞書という文献に記載されています。

料理、魚鳥の取り扱い、飲食の作法などが書かれています。

この時には、出汁袋を使って出汁を取っていたと書かれており、現代とは異なる出汁の取り方をしていたようです。


盛んになる出汁

江戸時代中期に、昆布とかつお節を合わせた出汁が登場しました。

また、最初の実用料理書である「料理物語」には出汁の取り方や二番出汁について説明されています。

この後、多くの料理に出汁が使われるようになりました。

例えば、鮒や鱈を使った魚の汁物、鶴や鹿を使った動物の汁物、納豆汁やよもぎ汁のような野菜類の汁物に出汁を使用していたようです。

西村源六の「料理網目調味妙」では、旨みと甘みが同じ意味で用いられていることがありました。

「出汁」のことを「下地」や「甘湯」と呼ぶこともあったようです。


関西地方で一躍した出汁文化

江戸時代も中頃の、今から約300年ほど前、関西を中心に出汁文化が大きく発展しました。

日本海から瀬戸内海を廻ってきた西廻り航路の船が、北海道の昆布を始め、全国の物産をどんどん運んでくるようになりました。

また、活気あふれる大阪の市場には、薩摩、土佐や紀州からも鰹節が入ってきて、合わせだしが生まれました。

関西では、薄味で素材のうまさを引き出すことができる料理が好まれ、そのうまみはもちろん「出汁」がポイントでした。

これは現代でも受け継がれている特色です。


日本人にとってかけがえのない出汁

「出汁」という存在が確立されるのは江戸時代になってからでしたが、日本の料理は出汁がとても重要です。

日本料理を味わう時に、ぜひ意識してみてください。